じいちゃんが入院した。トイレに行こうとして転倒し、大腿骨の骨折。即入院。

 病院からここは一般病院(整形外科)。夜間介護を行うには人手不足であり、本人も数日間は精神的に混乱があるかもしれないので付き添ってほしいと言われた。
 
 そして、4日目の夜僕が夜間付き添うこととした。

 大腿骨折ということで足を牽引され、寝たきり状態。四方を柵で囲まれ、柵には鈴がつけられている。なんだか昔を思い出した。

 食事をあまり摂らないとのことで、介助をしながらおよそ半分食べてもらう。病院食。一日中動けず寝たきり。食べないよな…。(ちなみに翌日の朝食は完食。)

 食後後しばらくしてじいちゃんはひたすら起き上がろうとする。おしっこに行きたいのこと。骨折して動けない、おむつをしているのでそのままそこにしても大丈夫なことを話すが、その時は分かったようなのだが、しばらくするとまた起き上がろうとする。その都度説明するが、しばらくすると…。耳がほとんど聞こえない、そして入れ歯も外されモゴモゴ状態のじいちゃんは、おしっこが爆発してあたり一面に飛び散るぞ!とのジェスチャーを繰り返す。

 尿器をあてる。けれども出ない。前立腺肥大。男の病。そりゃ96にもなれば、前立腺も肥大するだろう。家でもちょくちょくトイレに行くのだから。

 バルーンカテーテルをつけると、異物として抜いてしまう。おむつには出ない(寝てる状態なので腹圧かけられずに出せない)。もちろんトイレにはいけない。となると、定期的に導尿しかない。でもそう再々導尿ができるわけでもない。となると、導尿の時間まではおしっこが出そうでも、トイレに行きたくても行けない。

 認知症と人は言う。96歳だけど自分でトイレに行こうとし、家ではご飯も自分でついで食べるし、残ったおかずは冷蔵庫にしまう。大したもんだ。認知症じゃない。年相応。ごくごく当たり前。

 そんな時優しい看護助手さんの声掛けは唯一の救い。(決してトイレに行けるわけでないが…。)一方で看護師さんは専門的立場からものをいう。

 以前ならばどうして看護師さんは優しくないのだろうと思っていた。けれども今はそれぞれの立場を理解することができる。助手さんの優しさも必要。看護師さんの専門的立場も必要。

 ただ、中には専門性を持ちながらもとても優しい看護師さんもいる。その人は天使である。捕まえろ!一方で助手ながら勘違いしてしまい、きつい人もいる。そいつは悪魔だ。やっつけろ!

 しばし骨がくっつくまでの辛抱だ。頑張れじいちゃん。戻ってきたらまたお風呂に入れてあげるから。


追伸
 元プロの僕としてはいろいろと口出ししたくなる。じいちゃんを病院に運ぶときの介護タクシーにはそこそこ口出しした。そしてホントは病院の中でも…、けれども今は引退した身。皆さんプロ意識をもって取り組んでいる(ハズ)。だからなるべくおとなしく、「お願いします。」のひと声を。