先日ある人から大学の社会福祉学科の事情を聞いた。それは次のようなものであった。

 「近頃の福祉科の学生は、まず始めに一般企業の就職先を探し、そちらへの就職を優先する。もし一般企業への就職が見つからなかったら、福祉の職場での就職を探す。」とのこと。

 僕にはこれがどこまで本当のことなのか分からない。まさか全員が全員そうであることはなく、おそらく学科の一部の学生がそうなのではないかと思う。ただ、その学生の気持ちも分らないでもない。

 今世間で聞こえてくるのは福祉の現場の大変さ。かつて3K(きつい、汚い、給料安い)と呼ばれる職があったが、福祉はまさにそこにも当てはまる。中には6Kだって言う人さえもいる。(残りの3つのKは何なのか分からないが…。)

 確かにきつい。ものによっては24時間の仕事だから早番・遅番もあれば夜勤もある。夜勤なんて18時間ぐらい連続で働くこともざらにある。排泄の介助もしなければならず、時には汚物まみれの世界に…。

 そして中でもよく言われるのがその給料の安さ。安さゆえに男性職員が結婚を機に寿退職するともいわれる。それに阿部蚤屈巣。給与を上げるなどと言うが、介護保険などの社会保障費の下で働く職員の給料が上がるわけがないので初めから圏外領域。受けるのは物価上昇の不利益のみ。

 最近施設を訪れると、1,2年前から職員の確保が難しくなり、今では募集してもほとんど応募が無いらしい。(それなのに高齢者施設は次々に開設されていく…。)そのため現在では職員の負担が今以上にならないように配慮しなければならないとのこと。

 以前生産性人口や高齢人口などの関係から2015年危機説を考えたことがあったのだが、そんな時代が本当にやってきつつあり、今僕は非常に福祉の危機を感じている。このままでは人員の欠如により施設の運営が成り立たなくなるところが出てくるのではないだろうか。だから今こそ僕は学生たちに僕のこれまでの経験談を話すべきではないかと思っている。

 僕は十数年間高齢者福祉をやって来た中で、様々な経験をしてきたと思う。介護保険の始まる前の縛り地獄介護から現代のお客様時代への変換。利用者との触れ合いの中で楽しかったことや笑えたこともあれば、嫌だったこと、つらかったことなど山のようにある。そしてそれらを通じて今の僕がいる。

 それらを話す時じゃないのかなと思う。そしてお金ではない豊かさを得られたこと、人と人の仕事を通じて得てきたもの、それらを通じて福祉の仕事の醍醐味を語る時なのではないかと思っている。
 
 また現在の僕は重症心身障害児者の支援をしてきた経験から、新しい福祉社会を目指して活動を始めている。これは社会福祉士と言う資格が、相談業務や対人援助だけではなく、新しい領域(社会)を形成することができる資格であるということが認識されることを目指している。

 そのことを学生たちに伝えたい。福祉あるいは社会福祉士の醍醐味、そして魅力を伝えたい。そして例え一般企業に就職したとしても、いつでも福祉の門戸は開かれていること。その企業での経験も福祉の仕事をするうえで役立つことを伝えたい。

 最近流行のアドラー心理学。そのアドラーは断言している。「幸せになる唯一の方法は、他者への貢献である」と。本来福祉ほど他者への貢献をする仕事があるだろうか。1対1で本当に自分が試される仕事。

 弱い立場の人、困っている人々の声を聴き、手を差し伸べる仕事は一見すると受け取る以上に与えることの方が多い。けれどもある時気がつけばその分心が豊かになっている。他者へ貢献する自分がいる。幸せになっているのである。

 そのことを伝えたい。

 ただし、放っておくとどんどんスピリチャルな方向にも走ります!暴走します。






らいふあーと21~僕らは地球のお世話係~