先日「Lifersライファーズ 終身刑を超えて」という映画の上映会に参加してきました。この映画はアメリカで殺人や強盗などの事件を起こし、終身刑を受けた人々の更生についてのドキュメンタリー映画です。


現在アメリカ合衆国には200万人の受刑者がおり、そのうち10万人以上が終身刑受刑者とのことです。そこで彼らの更生を目的としたアミティという民間団体が、受刑者に対して刑務所内で実施する更生プログラムの様子や、自分の犯した罪を反省し更生したことが認められ仮釈放となり、同団体が設立した社会復帰施設で生活する(元受刑者の)様子を撮影したものです。
 

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映画を見て分かったことは、受刑者の多くが子供の頃に性的虐待や暴力などを受け、その心の傷が修復できずいるのです。なぜならその心の傷の修復を手助けしてくれる人も環境もないからです。唯一その心の傷を埋め合わせてくれるものがドラッグやバイオレンスなのであり、そこに彼らは陥っていくのです。けれどもそれらは当然ながら一時的に和らげるものでしかありません。いつしか心が壊れてしまい、我を失くし、気がつけば事件を起こして刑務所へ収容されているのです。そして例え刑期を終え出所しても、刑務所内で心の傷は修復されることはないままなので、更には社会から疎外されるため、再び事件を起こし刑務所へ戻るという悪循環が繰り返されるのです。


そこで彼らの更生を促すために、刑務所内にアミティのカウンセラー(かつての受刑者)が入り、当事者同士のピュアカウンセリング等様々なセッションを通じて、自分自身のことや自分が犯したことの事実を振り返っていき、心の修復を図ろうとしているのです。その振り返る手順は、

 
①(事実を)受け止める

 
② (お互いが)支え合う

 
③ (何か・誰かの)役に立つ

この3つを順次行い、繰り返すことによって、反省を促すと同時に自分自身の客観的にみることによって心の修復を行っているのです。



この映画を見て私が思ったのは、彼らが更生していくために必要なことは、、

Ⅰ支えが(受け止めてくれる、あるいは支援してくれる人や機関)が必要なこと

 
Ⅱ(自分自身が)社会に役立つこと、役立てることを実感することが必要なこと

という2つのことです。そしてこの2つのことは私が現在考えている社会福祉に共通することなのです。


現在私が行っている福祉の仕事は、障がい者の支援ですが、私が彼らに必要と思うことは、

 
ⅰ)今ここにいるという価値(=存在価値)が認められること。

 
ⅱ)支え支えられ、何か(誰か)の役に立ち、それを実感し喜びを感じること。

 
ということなのです。変な言い方になってしまうかもしれませんが、映画の中の受刑者のカウンセリングと同じことなのです。


そこで思うことは、もしかするとこれら2つのこと、~存在価値が認められること。そして何か・誰かの役に立ち、喜びを感じること。~は、受刑者や障がい者にかかわりなく、すべての人間がこの世に存在し、生きていくということの原点の一つではないかということです。



私たち(一般?)の人間も、存在価値が認められなければ、生きていくのは辛く感じます。また何か・誰かの役に立ててこそ生きがいや喜びを感じることができます。そこにはどのような身分も経歴も関係ないのです。私たちはついつい日常生活の中でそのことを忘れてしまっているのではないでしょうか?


「ライファーズ 終身刑を超えて」 印象に残る映画でした。










らいふあーと21~僕らは地球のお世話係~