統合失調症の彼と出会って半年が経過します。彼を支援しているうちに彼が統合失調症となったのは必然であり、それによって彼は救われたのではないかと思うようになりました。
彼は若き頃世間で言う(手がつけられないほどの)やんちゃものであったようです。高校時代の彼は人を人とも思わず、何かあるとすぐにキレ喧嘩に暴走を繰り返していたそうです。
そんな彼も高校を卒業し就職はしたものの、その性格は変わらず、傲慢なままですぐに会社の人から大前は外の人間(よそ者)だといわれたそうです。彼は心の中の苛立ちを晴らすために時に高速道路を200キロで突っ走っていたこともあったそうです。ちなみに彼の話によると当時の監視カメラは200キロのスピードので走る車のナンバーを写すことができるほどの性能ではなかったがゆえに捕まらなかったそうです。
そんな彼は20代前半の時に統合失調症になります。それからというもの体調はすぐれず、力も入らなくなります。これまでなら腹を立て、相手を威嚇していたのが、それをすることもできなくなります。大声を出そうにもその力もなくなったそうです。けれども基本的性格は変わらず、生意気なままであり、それ以降仕事を転々とし始めます。どこへ行ってもしばらくすると首を切られたり、あるいは契約が更新されることはなかったそうです。
仕事を続けようにも続けられない、叫びたくても叫べない、そのような状況の中で彼は年を重ねて行きます。気づけば40代となっていました。そしてこの状況を何とかしたい、きちんと仕事を続けて、そろそろ落ち着いて生活したいと思うようになり、主治医のアドバイスもあり、彼は障がい者の就労支援事業所に通うようになります。そしてそこでの就労を通じ指導と訓練を受けて行く中で私と出会い、私が彼の就職とそこで働き続けられるように支援することとなりました。
彼は今再び一般企業で働いています。当初は彼のもともとの性格や同じ部署の人との関係からいろいろなゴタゴタがありました。ある日電話の向こうから「こんなところでやってられるか~!」叫んできたこともあります。その都度彼との面談や周囲の調整を行いひとつずつ課題に取り組んでいきました。その甲斐あってかもう辞めるといっていた彼は落ち着き始めました。
つい最近彼との面談で、統合失調症になったことは必然であり、それによって救われたことを話しました。もう一歩突っ込んで統合失調症になったことを受け入れ、感謝できるようになればそれはよくなっていくとも話しました。
なぜなら私はこれまでの彼との話しを通じてこれまでの彼の経歴や行動を知り、彼が統合失調症となったのは彼自身の心がSOSを発したか、もしくは彼の守護霊が彼を守るためにそのスイッチをONにしたのではないかと思ったのです。もし彼が統合失調症を患うことがなければ、きっと彼は今この世にいないか、あるいは塀の中での生活を余儀なくされていることでしょう。それを防ぐために彼自身の心が、もしくは彼の守護霊がそうなるようにしたのだと思うのです。彼の表面的性格は子供時代からの環境によって暴力的となったのでしょうが、心の奥底(潜在意識)ではそれをしてはならないことと認識していたのではないかと思うのです。そしてスピリチャルな面も含めて支援をしようとする私と出会った…。(引き合わされた…。)のではないでしょうか。
彼がそれを理解したかどうかは分かりません。コイツはなにを言っているんだオカルトかと思ったかもしれません。けれども彼はそれから仕事に対してこれまで以上に積極的になってきました。
先日彼から相談がありました。統合失調症の人でも上(の立場、ポジション)を目指せるのでしょうか?というものでした。そこで私は、私の知っている統合失調症の人でNPO法人を立ち上げている人もいることを伝えるとともに、ひとつアドバイスを送りました。
統合失調症となり人間の弱さ、自分の弱さを知ったと思います。それを活かしていけばよいのです。
彼はこれまでの人生の半分を統合失調症として生きてきました。そこにはずっと悔しさと情けなさがあったと思います。きっと不遇の20年として自分の人生を嘆いたことでしょう。けれどもこれからはきっとゆっくりでも前に向かって進んでいくと思うのです。そしてもしかするといつか彼も部下を持ち、人の弱さの分かるいい上司となるかもしれないと思うのです。
もうしばらく彼の人生に付き合いたいと思います。
らいふあーと~僕らは地球のお世話係~
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