先日NHKのドキュメント番組でわたなべちひろさんというアーティストが取り上げられていました。ちひろさんは視覚障がいのある12歳の女の子です。(ちひろちゃんの方がいいかな?)12歳ながら彼女のピアノと歌は人々の心をがっちりつかみ感動を与えるので、和製スティービーワンダーとも言われています。



ちひろちゃんが歌う「イマジン」です。


番組の中で彼女がニューヨークを訪れ、プロのストリートミュージシャンと即興で一緒に歌うシーンがありました。その曲は「アメイジンググレース」かジョンレノンの「イマジン」のどちらかだったと思うのですが(ここでは「イマジン」とします。)、初めにストリートミュージシャンが歌いはじめ、それにちひろちゃんが合わせて歌い、歌が終わると同時に観衆が感動の拍手喝采するのです。

そのシーンを見て私も感動したのですが、同時に考えたことがありました。それはちひろちゃんはどうやって彼らに合わせたのだろうということと、そしてもうひとつはこれこそこれからの社会のあり方、そして世界のあり方ではないかということです。

ちょ調和(楽譜)

まずはじめにどうやって即興の演奏が成し遂げられたかということですが、彼女は目が見えないわけですから、一緒に歌うミュージシャンたちの顔も姿も分かりません。まだ12歳ですからおそらく英語で詳細な打ち合わせをすることも難しいでしょう。彼女は音(メロディ)でもってすべてをとらえたはずです。

その音ですが、そこにはまず「イマジン」という基本のメロディがあります。しかし一緒に歌うのはプロのストリートミュージシャンですからカラオケのようにジョンレノンとそっくりに歌うわけではありません。彼らなりの歌い方、リズム、個性でもって唄います。

そこにちひろちゃんは自分の歌声を合わせていくわけですが、12歳ではあっても彼女にも彼女の個性があります。歌い方があります。ちひろちゃんは「イマジン」という曲をベースにストリートミュージシャンがリードする中で、そのリズムをとらえて、そこに彼女の個性を重ねていきます。

え絵の具

最初そこに出てきた音には多少の違和感が感じられます。けれども徐々にストリートミュージシャンの個性とちひろちゃんの個性が重なり合っていくのです。するとそこに独特の音色が生まれ、ストリートミュージシャンたちとちひろちゃんが合体した新たな個性となり、音となります。そして歌い終わる時にはそれは人々の心を震わせるほどのものとなったのです。

すなわち「イマジン」という基本メロディがはじめにあって、それを基にそれぞれが個性を重ねていった結果、そこに独特の音色が生まれ、それは人々を感動させるほどの価値あるものとなったわけです。

は拍手2

私が思うに、これは音楽だけの世界だけのことではなく、社会の中で、人間同士が共存していく上でも同じことが言えるのではないかと思うのです。今日本において基本的に人々の自由が与えられています。けれども100%自由がよいかというと、そうでもないようにも思えるのです。人間同士がやっていくためには基本のベースが必要ではないかと思うのです。共通認識といってもよいでしょう。

もしそのベースがない時、何をしてもかまわないという状況、1人ひとりがエゴ中心となってしまった時、つまり現代の日本の状態では社会は成り立たないのではないかと思うのです。たとえて言うならばストリートミュージシャンはイマジンを歌い、その隣でちひろちゃんは「上を向いて歩こう」を歌っているようなものでしょうか。それぞれが好きな歌を勝手に歌っていたならば例えよいアーティスト同士であっても、聞く側にしてはノイズにしか思えません。

ら落書き

今の政治を見てください。政治家たちが自分たちのエゴ(権力と金欲)に走った結果、国民は政治に対する信頼を失い、政治はみるも無残です。官僚たちが自分たちの利権と保身に走ったためにその無様さが表面に現れてきています。大企業(財界)の不祥事が相次ぎその信用が失われています。そしてそれらは社会にも反映され、今の社会は信じられないような事件が次々と起きています、今の日本は社会そのものがバラバラになっているように思えます。

このような状況であるからこそ、日本は基盤のベース、共通認識を持つ必要があると思うのです。そしてそれらがあってこそ社会はより良いものへと向かうのではないかと思うのです。もちろんそれは欲やエゴを基盤とするものではないということは言うまでもありません。

ふ船と美女

ちひろちゃんが目の見えない世界、言語の違う世界で、ひとつの共通のものを基に生み出した価値は、感動を与えるだけでなく、物事をシンプルにもしてくれました。そしてそこから本当に必要なものは何かを教えてくれたように思えます。人々に必要なものは本当はとてもシンプルなものなのです。けれども私たちはあまりに世界を複雑にしすぎているのです。本当に必要なものを再確認して、その上にそれぞれの個性を重ねていけば、とても豊かでみんなが喜べるものが生まれてくるように思えます。



らいふあーと21~僕らは地球のお世話係~